整理解雇とは

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最終更新日:2012年02月01日

整理解雇は、会社側の経営状態を理由とした解雇です。
会社の業績不振により人件費を削減する必要がある場合、整理解雇がおこなわれます。しかし、整理解雇をおこなうにも満たすべき要件があり、社会通念上相当と判断されない限り、解雇をおこなうことはできない、または解雇無効とされます。

以下では、整理解雇の際に満たすべき4つの要件について判例を基に解説します。


@ 本当に整理解雇が必要か

【平成11年:東洋印刷事件】
不採算部門に所属する労働者が、当部署を閉鎖することを理由に整理解雇されましたが、判例では解雇に及ぶまでの必要性は認められないとして解雇無効となっています。
この会社は当時業績不振のもとにあり、長期的構造的な対策が必要であったものの、一方では採算性の見込めない会社に迂回融資するなど、短期的には資金面での余力があったと認められます。またその当時、新規開拓と銘打った営業社員の募集活動を行うなど解雇回避努力も尽くしていないことから、総合的に判断して整理解雇の要件を満たしていないと判断されています。 解雇の必要性



A 解雇を回避するために努力したか

【昭和57年:西日本電線事件】
会社経営の悪化を理由に整理解雇を実施、その必要性については認められるも解雇を回避するための努力を尽くしていないと判断され解雇無効となっています。
この事案では、確かに会社は整理解雇時に多額の累積赤字を抱えており、そのまま推移すれば会社の存続が危ぶまれる状況であり、整理解雇を行うに足る必要性はあったと認められましたが、 人員問題の決着を急ぐあまりに、労働組合と何ら協議をせず、またその他解雇を回避する努力を行わずに整理解雇を強行した点から、事前に十分な措置を講じた上での解雇とはいえず、結果、解雇無効となったようです。 解雇の回避努力



B 解雇者の選定に合理性はあるか

【昭和58年:池貝鉄工所事件】
経営立て直しのため希望退職を募るも募集人員に足らず、ある一定の基準を設けて整理解雇したケース。結果、解雇権濫用とされ解雇無効となっています。
当会社が策定した整理解雇の基準とは以下のとおりです。
@ 高齢者
A 業務に熱心でない者
B 能力の劣る者
C 規律を守れない者
D 病弱者
E 退社後も生活に窮しない者
それぞれの基準事態には一応の合理性があるように見えますが、いずれも極めて抽象的であり、基準に該当するか否かの判断が評定者の主観に左右されてしまう嫌いがあります。これらの基準を運用する為には、評価対象期間を設け、評価項目、評価方法等が設定され、それに従って評価されるべきであり、この事案では合理的評価がなされていないとの見解により、解雇無効となっています。 解雇者選定の合理性



C 説明責任を果たしたか

【昭和54年:北斗音響事件】
整理解雇実施以前に、会社と労働者の間で十分な協議がなされていなかったことを理由に、解雇無効を主張する労働者の申請が認容されたケース。
労働者を解雇することは最終手段であり、先ずは解雇回避努力に尽力すべきで、それでも整理解雇を行う必要性がある場合には、会社は労働者に対して、その理由や必要性について決算書類や経理資料を開陳するなどして十分な説明が加えられるべきなのに、この事案では、会社はただ不況を乗り切るためとか、やむを得ない措置とか、抽象的な説明に終始し、ほとんど労働者の理解を得ることなく整理解雇に踏み切ったことが、解雇無効、解雇権の濫用と判断されたようです。 説明責任


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